昔観たドラマの原作シリーズ「流星の絆」

ミステリー

あらすじ

ペルセウス座流星群を見に行くため深夜に抜け出した3兄弟の功一、泰輔、静奈。流星群を見ることはできず渋々帰宅すると、両親が殺されていた。

時効目前に犯人らしき男と再会を果たした3兄弟。ついに両親の仇を討てると思ったが、3人を待ち構えていたのは、あまりに悲し過ぎる、思いもよらぬ結末であった。

両親が殺された夜

ペルセウス座流星群を見ることはできず家に戻り、怒られるのを覚悟で両親の寝室を覗くと、そこには血まみれで倒れた2人の姿があった。状況を把握するのに困惑している時、裏口から出てくる1人の男。その男の横顔を3兄弟の中で泰輔だけが見たのだ。

通報後すぐに柏原刑事が現場に到着し最年長の功一に話を伺うことに。柏原は萩村刑事の到着を待っている間、傘を逆手に持ちゴルフの素振りをしていた。この先3兄弟でどう生きていけば良いのかと、途方に暮れている功一だったが、柏原の「ゴルフの素振り」が妙に気になった。

洋食屋アリアケの裏口のバケツに1本の傘が置いてあった。功一は「家の傘じゃない」と説明し、警察は犯人の忘れ物として指紋を調べるが、何故か指紋は検出されなかった。犯人はわざわざ指紋を拭き取り、わざと置いていったのか。

詐欺を繰り返す3兄弟

身寄りがおらず施設で育てられた3人。信じることのできる大人がいないまま歳をとってしまい、物の良し悪しがつかないまま、心がひね曲がり、汚いお金の稼ぎ方を覚えてしまった。

いずれは社会復帰しなくてはいけないという考えがあった功一。最後の山にしようと作戦を練り、ターゲットとしたのは戸神行成という洋食屋「トガミ亭」の後継者であった。

いつもの如く静奈が接触し、距離を縮めていく。行成の洋食屋を訪れ食事を済ました後、帰路に着こうとした際、ばったり会った行成の父「政行」と挨拶を交わすこととなった。

犯人との再会

行成に見送られ、店の前で解散した静奈。車で待機していた泰輔は静奈を車に乗せ、帰宅しようとした際、政行が店から出てきたのだ。

その男こそが、あの夜、両親が殺された夜に裏口から出ていった男だったのだ。

犯人への接触

トガミ亭の看板メニューがハヤシライスであり、その味が父親が作っていたハヤシライスと酷似している点、隠し味に名古屋の醤油を使用している点、その醤油を仕入れた始めた時期が事件後である点、ついに犯人の尻尾を掴んだと3兄弟は復讐を計画する。

証拠を作る

功一は証拠がこれ以上見つからないと思い、3人で証拠を作り出すことを考える。

父親の遺留品である「有明周年金時計」に政行の指紋をつけることに成功した。そしてトガミ亭の初代店舗があった、桜木町の現在DVD屋になっている建物に忍び込み、天井裏から「金時計が入ったキャンディーの缶」を盗んだ様に見せかけ、警察の捜査の矛先を戸神政行に向けたのだ。

逮捕の決定打を作り出すため父親が残していた「レシピノート」を戸神家の書庫に隠すことに成功し、14年越しについに両親の仇を打てるを思ったが、そのノートを行成が見つけてしまったのだ。

犯行を否定する政行

功一と泰輔は刑事に変し、戸神家に訪れ事件現場に残されていた傘と政行のDNAが一致したと説明するが、政行は犯行を否定し、「あの夜アリアケに行ったが、殺人はしていない、すでに両親は亡くなっていた」と説明した。

政行は「有明にレシピを50万で買わないかと誘いを受け、乗ることにし、有明に言われた通り深夜に裏口からレシピノートのコピーを受け取りに行ったが、先客が1人いた。先客が居なくなるのを待ち、裏口から中に入ると血まみれで倒れる夫婦に悲鳴をあげそうになったが、とにかくこの場を離れようと思い、レシピノートを拝借し、ビニール傘を持って出て行った。その時、泰輔が自身を見たのではないか」と供述した。

しかし傘を間違えて持って帰ってしまい、持ち手に触れないように14年間保管し続けていた。もし警察が自分のところにたどり着いた際に、先客がいたと説明するために。保管し続けてきた傘は、持ち手に幾つもの線状の傷が残っており、現場に残されたもう一つの傘(戸神政行が忘れていった物)に指紋が検出されなかったことから、功一は事件の真相を見抜いてしまったのだ。しかし、それはあまりに辛く、悲しすぎる真相であった。

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悲しすぎる真相

多くの人がすでに結末をご存知の為、結末を書きます。

柏原は傘を現場に忘れてしまい、通報後刑事として現場に戻り、誰にも見られないうちに傘の指紋を拭き取ったのだ。子供の手術費の為に大金が必要になり、200万もっていた有明幸博を殺害し、口封じのためにも有明塔子も殺害した。

功一に「あんたが両親を殺したんだろ」と問いただされ、全てを白状し自殺した。事件発生後から、親身に寄り添ってくれていた、最も信頼を寄せていた人物が、愛する両親を殺害していた。

あとがき

多くの人が「流星の絆」をドラマで知ったと思います。私もその一人です。子供ながらに、その結末に震撼したのを今でも覚えています。原作を読みながら情景を思い浮かべるのですが、やはり二宮和也が出てきてしまいます(笑)。確かに正義感が強く、血が繋がっていなくても兄弟想いな有明功一は彼しか思い浮かびません。

犯人を知った上で読んでも楽しめるのが、東野圭吾です。ドラマで満足している人原作を読むべきです。

両親を殺害され、いつか必ず仇を討つと星に誓った兄弟の絆は固く美しく、いつの時代にも愛される作品です。

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