昔観たドラマの原作シリーズ「リバース」

ミステリー

深瀬和久の楽しみ

深瀬和久は就職後も変わらず色濃くない人生を歩んでいた。

そんな中、ささやかな楽しみができた。アパート近くのクローバーコーヒーというコーヒー屋で過ごす時間だ。そこで越智美穂子と出会い、次第にコーヒー屋の常連となり交際を始めた2人は、デートする時は、コーヒー屋で待ち合わせすることが自然だった。

美穂子の元に届いた手紙

普段通りにコーヒー屋で待ち合わせしていたが、美穂子は店に現れなかった。

深瀬の家の前で待ってるから帰って来てと連絡が入り、急いで家へ向かった。何か嫌な予感をしていた深瀬の予想は的中することとなる。ある封筒を渡され手紙を読むと、そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた。ひどく動揺した深瀬は、一呼吸置き、美穂子にこれまでの人生の全てを打ち明けることにした。

人生で唯一の後悔。話は大学時代に遡る。

大学4年時ゼミ旅行での”不運”な事故

学生時代から自身を空気のような人間と考えており、実家を出る為、受験勉強に勤しみ、県外へ出た
そこで初めて出会った親友と呼べる友人、広沢に出会った。

同じゼミに所属している深瀬、広沢、村井、谷原、浅見の5人は、就職活動の息抜き旅行という名目で2泊3日で村井の別荘に泊まりに行くこととなった。しかし、村井は前日に事故に遭い途中参加となってしまった。
道中サービスエリアで買い出し、昼飯を済ませ、村井を除く4人は無事宿に到着し、飲み会を始めた。といっても、谷原と浅見はお酒を飲めるが、広沢と深瀬は飲めず、「ノリ悪いな」という事で口論となった。しかし、広沢は場の空気を読んで飲むことにした。

旅の道中や晩御飯どきの会話で、深瀬は周りの3人のことをほとんど知らないことを実感した。谷原が浪人していること、彼女がいる事、一番仲の良かった広沢が野球部に所属していた事、自分だけ蚊帳の外だと実感した。

暫くして村井が合流することになり、近くの無人駅で待っていると連絡が入った。運転免許を持っている谷原、浅見、広沢の全員が酒を飲んでおり、迎えに行けない状況だったが、別荘を貸してくれている村井の機嫌を損ねることはマズいと考えた谷原と浅見は、一口しか飲んでいない広沢をドライバーとして提案した。こうして、半ば強引に広沢が大雨の中迎えに行くこととなった。
深瀬は運転出来ない事を後ろめたく思い、広沢が出発する直前に広沢の好きな蜂蜜入りのコーヒーを手渡した。

広沢が中々到着しないことに痺れを切らした村山が電話をかけてきた。
もう1時間も前に出たぞと伝え、心配になった谷原と浅見はガレージにあったマウンテンバイクで様子を見に行くことにし、深瀬は宿で留守番することになった。
そして、谷原から電話が入り、ガードレールを突き破り、谷底に落ちた自動車を発見したと伝えられ、夜が明け、警察が到着し広沢が遺体として発見された。

事故においても蚊帳の外

この一連の事故の事を美穂子に全て打ち明けた。

深瀬は周りが運転しろって急かしたんだよね、カズ君は悪くないね、事故だったら仕方ないよねといった甘い返答を期待していたが、帰ってきた言葉は、「広沢君がお酒を飲んでいた」ことを隠している時点で無罪じゃないというものだった。
「無罪じゃない」あまりに単調な、しかし的確な言葉を深瀬は頭の中で何度も反芻した。

深瀬は止めなかった自分にも非はあるが、急かした彼等とは違う、同罪ではないと思いたかったのだ。

広沢の死を恨む人物の復讐

深瀬に対するイタズラと同様のイタズラが浅見、村山にも仕掛けられていた。

谷原の元にも同様の告発文が届き、その後谷原は駅のホームに突き落とされ、間一髪で迫ってくる電車をかわし、命は助かったものの、命を狙っていることが明確となった。

谷原のことを聞いた浅見が、村山と深瀬に連絡を取り3人で谷原の家に向かうこととなった。広沢の死を悔やんで、ゼミ仲間を恨んでいる人物が復讐のためにしている一連の行動。

犯人は誰なのか。犯人探しを任せてくれと言い出したのは深瀬だった。復讐犯を突き止めたいという思いよりも、親友と思っていた広沢の事をあまり知らない自分に腹が立ち、深く知りたいと思ったのだ。

広沢の過去を知る人物

広沢の故郷に向かい、広沢家で晩御飯をご馳走してもらうことになり、広沢の高校の友人である、古川という男が広沢の大学のゼミ友達の連絡先を教えて欲しいとお願いされたみたいだ。そして両親は谷原の連絡先を教えたそうだ。

深瀬はそれから、広沢と信仰の深かった、永松、上田、吉梅、岡本に会った。各々から話を聞き、正義感の強い、スポーツ万能、スクールカースト関係なしに誰とでも仲良くする、という人間が出来上がった。

特に、岡本から聞いた話は、「広沢はクラスの中心なのに、隅っこにいる古川と仲良くしていた。古川も広沢がクラスの中心人物と分かりながらも、広沢を自身の班に誘ったり、自分の近くにいるように必死だった。陰キャラなんだから、離れろよな」と。深瀬は自身のことを話されてるかのようで胸が痛かった。

それから深瀬は最も復讐犯の可能性が高い古川と会うことにした。
広沢との関係を聞き、自分よりも関係値が深いと感じた。大学受験で広沢を追いかけるように、広沢と近くの大学を受験し、広沢と同じアパートに住んでいたみたいだ。

そして、広沢が高校時代片思いしていた女の子も上京し、古川と偶然再開した。それを広沢に伝えると、広沢はアプローチの末、高校時代からの片思いが実り、付き合うこととなった。古川は自身を恋のキューピットと思っていたそうだ。
それから3人で仲良く遊んでいたが、古川は広沢が自分を誘うのは、引き立て役の為と思い込み、「偽善者といるのはまっぴらだ」と言葉を残し、距離をとったそうだ。それが最後の会話となった。

深瀬は古川との会話で、この人は復讐犯ではないと思った。何故なら、古川は自分と似ている。

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広沢の死を悔やみ、ゼミ仲間を恨んでいる復讐犯は古川なのか。それとも別の人物なのか。
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